物書同心居眠り紋蔵 (講談社文庫)



物書同心居眠り紋蔵 (講談社文庫)
物書同心居眠り紋蔵 (講談社文庫)

ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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こんな時代物主人公は初めて!

時代物の主人公というと、清廉潔白、活力にあふれ、難しい事件をずばっと解決。そんなイメージを覆してくれた作品でした。主人公の藤木紋蔵は、奇病の持ち主の上に、いまいち精気に掛ける風体の物書き同心。ただ、好奇心だけは旺盛なため、いろいろと詮索して回る内に、いつの間にか色々な事件の真相にたどり着いていたりする。事件自体も、当時ならありふれているような事件。それなのに、紋蔵が関わる事件は、例を見ないような真相がかくされていたりする。そして、事件の結末は、必ずしもすっきりして、勧善懲悪を絵に描いたような物ではないが、人間味にあふれていたりする。登場人物をとても身近に感じられる作品でした。
滋味な作品

ナルコレプシーのような症状のせいで、臨時回りを外され、例繰方(事件の記録をつけるみたいな役目)にまわされた藤木紋蔵が主人公です。
勤務30年のベテランで法律知識もある、剣の腕も悪くない、けれど病気のために同心職には上がるチャンスはないし、そのせいで上役からはよく思われていない。

そんな彼が事件に巻き込まれたり、自分から入っていったりする姿を描く連作小説です。好評だったのでしょうか、シリーズ化されています。
江戸時代の法律についてはかなり調べこんでいるようでリアルな感じを受けました。
この作品集で扱われている事件の多くはあまりすっきりと解決しません。
市井のしがらみ、その他様々なものがそれを阻みます。

上役から怒られたり、苦い結末を噛み締める紋蔵。
だからこそ彼に降るささやかな幸福がこちらの胸に染みます。
捕物帖風の作品ですが、派手でも鮮やかでもありません。
しかし、滋味溢れる作品です。



講談社
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